肩こりとはどんなものか?原因は何か?男性より女性に多いのはなぜか? 病院などではどんな治療をするのか?などをご説明します。


目次

・肩こりとは?

・肩こりの原因

・女性の肩こりが多い原因

・病院での治療法


肩こりとは?

「肩こり」に関しては、経験は無くてもどんなものか?おおよそご存じかと思いますが、実は肩こりの医学的明確な定義は無いのです。

肩こりは「症状名」であり、ほかの疾患に付随する症状として扱われることが多いです。
実際に、肩こりで医療機関に訪れる人は少ないというデータがあります。
では肩こりとはどんな症状かと書くと、

「後頭下部から後頚部、肩甲背部、肩関節部にかけての筋肉の緊張を中心とする不快感、違和感、鈍痛など」となります。
もっと簡単にすると、
「首の後ろから肩背中の痛み、辛さ」
と言ったところでしょうか。

引用元:日本整形外科学会HP 肩こり

肩こりに関しての説明でほとんどと言っていいほど述べられる「国民生活基礎調査で肩こりが常に1,2位」という話。
腰痛と肩こりは日本国民の不調で訴えるベスト1,2の症状であるということですが、実際に厚生労働省の国民生活基礎調査のページで過去データを確認してみると、1998年の調査で女性の有訴率1位が肩こり、そして最新の2022年の統計データでもやはり腰痛、肩こりが男女ともに圧倒的に上位でした(2025年1月現在)。※健康に関するデータは、大規模調査年のみ計られます。
しかしそれでも肩こりで医療機関に訪れる人は少ない。確かに現実はそんな感じがします。

整体でも、肩こりだけでいらっしゃる方は少なく、腰痛や他の症状と共に肩こりも当たり前のようにある、肩こりに頭痛がひどくて来たなどと、そのような状態で訪れる方が多い印象です。
肩こりというと「我慢するか、マッサージなどでほぐしてもらう」が大体の方の対処法だと思います。


肩こりの原因


「病名」で無く「症状名」である肩こり。
「風邪」が病名で「喉の痛みや咳」が症状名となります。
喉の痛みや咳は、風邪でなくても起きますね。
つまり、肩こりという症状が起こりえる「原因」は多数にあると言えます。
肩こりの原因を大別すると3つに分けられます。

①筋肉の疲れ
②病気による肩こり
③心因性

①は一般的にイメージにある「疲れ、猫背、冷え」などと結びつく肩こりですね。
③も「うつ病」などの病気ではありますが、精神病に付随する症状として分けられています。
そして②の病気による肩こり。「内臓の病気が肩こりに出る」というのは耳にするかもしれませんが、それ以外にも下記のように沢山の病気に付随して肩こりも出ることがあります。

引用元:肩こりの臨床 各関連科からのアプローチ 森本昌宏 克誠堂出版 P4

病気による肩こりの場合で特に多いのが、「頚椎疾患」と「肩関節の機能障害」になります。
頚椎疾患とは、
・頚椎症・椎間板ヘルニア・椎間関節症・環軸椎亜脱臼、環軸関節変形性関節症・後縦靭帯骨化症などの他に、外傷によるもの、感染症、腫瘍によるものなどがあります。
また肩関節の場合は、いわゆる「四十肩・五十肩」が代表的なものになります。
肩こりで病院に行かれた場合にまず疑われるのは、上記のような疾患かも知れません。

若者は①筋肉の疲れによる肩こりが多いですが、年齢が上がるにつれ、②病気による肩こりの可能性も高くなって行きます。
私の見解では、病気に付随する肩こりの場合は、肩がこる以外にも何かしらの症状があるのではないかと思います。首や腕を動かした時の痛みや痺れ、内臓の不調感、その他「肩こり以外の不調」というものが。
そのような心当たりがあり、肩をマッサージしても変化がほとんど無いのであれば、病気による肩こりも疑ってみると良いかもしれません。


女性の方が肩こりが多い原因


前途した国民生活基礎調査では、男性より女性の方が肩こりを訴える割合が多いとあります。
ネットの様々な情報でも、女性に肩こりが多い理由に「筋肉量が少ない」、「ホルモンバランスの影響(生理)」などがよく挙げられていて、確かに分からなくもないですが、それがなぜ「肩」に起こるのか、その説明までにはなっていないのではないでしょうか?

私がこれまでの現場経験で実感しているのは、女性に肩こりが多いのは「バストの重さ」だと思っています。
実質的なバストを支える負担、文化的に胸部を動かす制限(胸を張るなど)、胸部を締め付ける、固定化する下着などは、結果的に女性特有の肩周りの負荷になっているのではと思います。
男性の場合なら、下腹部の無意識的な動きの制限、性器に対しての防衛意識があるのと同じでは無いかと思います。

胸部の筋肉「大胸筋」は大きい筋肉です。
胸部の筋肉が付着する骨「鎖骨」は、「肩甲骨」とつながり、それが「肩甲帯」と呼ばれ、肩こりにつながる様々の筋肉の土台になります。
肩を構造的に考えれば胸の筋肉が、肩まわりのコンディションに関わることが重要なことは一目両全で、実際に肩こりで辛い方の施術では100%胸部の硬さも確認します。

引用元:クリニカルマッサージ James H. Clay/David M.Pounds 医道の日本社 P108

ですので、女性で肩こりがお辛い方は特に、胸部の筋肉のストレッチ、運動などを意識的に「肩こりのケア」として行うと良いかと思います。


病院での治療法

病院で肩こりに対して行われる治療は、まずは何か病気による肩こりではないかの確認になります。
それを踏まえて、肩こりの原因が①筋肉によるものだとしたら、主な治療法は下記になります。

・薬
・物理療法
・注射(ブロック・トリガーポイント・ハイドロリリース)
・運動療法

薬は主には「痛みを抑えるもの(鎮痛剤)」、「筋弛緩剤」などでしょうか。
物理療法は「温める」、「冷やす」、「電気を加える」、「振動させる」、「マッサージ」などを機械で行う方法ですね。
目的は、血流改善や筋緊張の改善、疼痛の緩和になります。

注射は、「神経ブロック」と言うのは主に激しい痛みの場合、つまり「頚椎疾患」や「肩関節障害」などによる痛みに対して行われ、①筋肉の疲れによる肩こりの場合は「トリガーポイント注射」や「ハイドロリリース」になります。
トリガーポイントに薬剤を入れた注射を打つ「トリガーポイント注射」は、痛みの緩和、痛みの悪循環を断ち切る目的で行います。
ハイドロリリースは、エコーで画像を確認しながら筋膜の癒着部位を確認、そこに薬液を入れた注射をすることで癒着を剥離し、筋肉の動きを改善。これも痛みの緩和を目的とします。

運動療法は、ストレッチや運動を行うことで血流の改善、不良姿勢による筋肉のバランスの崩れを改善することにより、肩こりの解消を目的とします。

注射による治療法以外は大体ご経験があったり、想像がつくのでは無いでしょうか。
これらにより肩こりが改善すれば、それに越したことはありません。
ですが上記したように、肩こりというのは病気では無く、症状名です。
肩まわりの筋肉がこる現象が続いているということです。
その原因が②③の場合は、それをら改善できると肩こりも解消できるでしょう。
しかし①の場合、それは環境や身体の健康状態によりいつでも、いつまでも起こりつづける可能性はあるということです。
それが「慢性痛」です。

そのような肩こりに対して当店ではどのような施術をするのか、下記のページでご確認ください。