第12冊目 筋機能評価法 ビジュアルで学ぶ 触診・ストレッチ・筋力テスト

栗原 修 D.C. 著(医道の日本社)

この本を購入したのも、たぶん10年ほど前になります。
購入した一番の目的は、各筋肉の筋力テストについてまとめられた資料が欲しかったからです。当時、僕は「MMT(徒手筋力検査)」について調べていて、そのような内容が載っている本を探していました。しかし、実際に手に取ってみると、この本で扱われている筋力テストは、いわゆるリハビリの現場で病的な筋力低下を評価するためのものとは少し違い、筋肉そのものの機能状態を確認するための評価という内容でした。
結果的には、こちらのほうがセラピストとして現場で使うには適していると感じています。

本書では、主要な骨格筋について、起始・停止、神経支配、作用はもちろん、その筋肉の視診・触診方法、ストレッチ(他動)、筋力テストまでを一つの流れとしてまとめています。筋肉について知りたい情報が一つに整理されているため、とても使いやすく、僕自身は最初から読み込むというより、気になる筋肉や確認したいことがある時に開く、いわば辞書のような使い方をしています。
何年経っても何度も手に取る本というのは、やはり良書なのだと思います。

そして、この本の価値を改めて感じた出来事がありました。最近になって久しぶりに読み返した際、付録の資料に目が止まりました。
そこには、頭蓋骨や胸郭など、部位ごとに分けられた骨格図があり、そこに付着する筋肉の起始と停止が、起始は赤、停止は青で色分けされていました。「こういう資料が欲しかった」と思えるほど、まさに知りたかった情報が分かりやすく整理されていて、その時あらためて、この本の良さに感動しました。

さらに、神経支配についても、関連する筋肉をまとめて色分けした図が掲載されており、現場で確認する際に非常に役立つ内容になっています。
もちろん、こうした情報は他の専門書にもありますし、3Dで筋肉や骨格を確認できるアプリなどもあります。ただ、便利だからといって3Dが常に優れているわけではありません。2Dの図だからこそ、視点や表現によって理解しやすい場合もあります。

また、アプリなどのデジタル情報は手軽で便利な一方で、情報の信頼性という面では注意が必要だと感じます。専門書であっても間違いを見かけることはありますが、体系的に編集された書籍には、やはり一定の信頼があります。
解剖学のような分野では、一冊だけで完結するというより、複数の資料を見比べることで理解が深まるものだと思います。その中でも、この本は膨大な情報を、細かく、そして見やすく一冊にまとめている点に大きな価値があります。

今ではAIを使えば、情報を集めたり整理したりする作業自体は、以前より簡単にできるようになりました。しかし、価値が生まれるのは、単純に情報量が多いことではなく、どのような視点で情報を選び、どのように整理し、どんな形で届けるのかという部分なのだと思います。
それは書籍でも、AIで作られる情報でも変わらない、本質的な価値なのではないでしょうか。